株式会社 本田技巧

Volume21 「西洋理髪発祥之地」記念碑

「散切り頭を叩いてみれば、文明開化の音がする」

散切り頭とは、ちょんまげを切り洋風の散髪にした男子の髪型のことで、明治に入り西洋人の真似をした髪型のため、文明開化の象徴だったといいますね。

お恥ずかしながら、私はこの仕事を引き受けるまで、日本人初の西洋理髪店が開業した場所は、現在の横浜中華街辺りであったことを知りませんでした。

「西洋理髪発祥之地」記念碑の製作。
名誉なことではありますが、実はなかなか大変な仕事でした。

※ 見積もり時の仕様
 ・顔 ヘアライン(以降 H.L)
 ・「ZANGIRI YOKOHAMA」鏡面仕上げ   
 ・髪の毛  カラーステンレス( H.Lブラック)  

■顔の部分
顔はヘアラインより、バイブレーションの方がマットな感じがして良いと思い おすすめしたところOKをいただきました。

■「ZANGIRI YOKOHAMA」の文字
顔のマットな感じとは対照に、文字は凹凸かつ鏡面仕上げでメリハリがでました。

■髪の毛
髪の毛をカラーステンレス<ブラック>仕上げに自信がなく(以前はよくやっていたが)、カラークリア―塗装に変更してもらいました。
色サンプルを出すと、客先より「爪などでひっかくと剝ける」と指摘されました。
※「カラークリア―は上塗りのみなので剝がれやすいです」と説明しました。

わたし自身も「塗装」と「カラーステンレス」では質感が全然違うの事はわかっていたので、なんとかならないかと思いながら製作を進めていました。
それでもと思い、角部のフル溶接、R面取り、H.L仕上げ(放射線状)に仕上げたサンプル材料を準備し、カラー発色してくれる業者にお願いしたところ出来上がりは上々!
客先にカラーステンレスでの仕様変更を連絡したところ、すぐにOKの連絡が来ました。
わたしは、さっそく髪の毛の部分を製作して、H.Lブラックの発色をして完成に至りました。

エッチング後のR加工や溶接加工、そしてバイブレーション仕上げ、
頭部の髪の毛部の溶接や、H.L仕上げ後のカラー発色、大変な作業の連続でしたが、髪の毛らしさが表現できたと思います。

依頼主様からも、「カラーステンレスで仕上げてもらってよかった!」と、褒めていただきました。
諦めずトライしてよかったです。

横浜中華街の傍らにこの記念碑はあります。
近くへお出かけされた方は、ぜひお立ち寄りください。

* 記念碑所有者様、依頼主様より掲載許可済みです

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